18.3. 地球の多様な環境に生きる
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生物の分布は局所的にも変異する
異なる環境内では、より小さな空間スケールで変異が生じる
たとえば、各湖は、生物にとって異なる生育環境を提供し、各生育地で特徴的な生物群集が形成される 生物圏の非生物的要因
エネルギーの源
すべての生物は、生存するための利用可能なエネルギー源を必要とする
クロロフィルの相対頻度の違いを表した図
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陸上生態系の植物の成長を制限する最も重要な要因である日光の不足は、めったに生じない
しかし、多くの水中環境では、光はある深さを超えて透過することはない
結果として、水中では、ほとんどの光合成が表層の近くで行われる
驚くべきことに、生物は、完全な暗黒の環境でも繁栄している
海洋表面の1マイル(約1600m)あるいはそれより深い場所では、特異な、熱水噴出孔の世界がある https://gyazo.com/3e97b0e1dd75d85a9a24d4222d06f518
これに類似した代謝能力をもつバクテリアが、洞窟に生息する生物群集を支えている 温度
0℃近くで十分活発な代謝を維持できる生物はほとんどいない
しかし、ある生物種では並外れた適応が、この温度範囲を越えた環境での生息を可能にしている
たとえば、温泉に生息する細菌や古細菌は極めて高い温度で最適に機能する酵素をもっている これとは逆の極限環境である北極・南極の海氷には、細菌、藻類、微小な無脊椎動物から構成される生物群集が分布している 水
陸上生物の場合、主要な脅威は、空気中で水分が奪われること
多くの陸上生物は、水分の消失を防ぐため、水を通さない表皮を持っている
ほとんどの植物の葉や他の空気にふれる部分を覆っているロウ質のコーティングは、脱水を防ぐためのものである
水生の生物は、水で取り囲まれているが、体内の溶質濃度が水の溶質濃度と一致しないかどうか、水分バランスの問題に直面している
養分
植物は、これらの養分を土壌から取り込む
土壌構造、pH、養分濃度は、植物の分布を決定する重要な要因
多くの水界生態系では、窒素とリンの不足が、藻類や光合成細菌の成長を制限する その他の水中の要因
水中では陸地とことなり、いくつかの非生物的要因が重要となる
水生生物は水に溶け込んだ酸素に依存しなければならない これは、多くの魚類にとって重要な要因
冷たく早く移動する水は、暖かく滞留した水より、高い濃度の酸素を持つ
塩分、流れ、潮汐もあた、水界生態系で重要
その他の陸域の要因
水界生態系にはなくて、陸上生態系で影響するいくつかの非生物的要因がある
蒸散の増加による気化冷却は、夏の暑い日中には有利になるが、冬には危険な風速冷却となる 一部の生態系では、嵐や火事のような、頻繁に生じる自然撹乱が、生物の分布に重要な役割を持つ 生物の進化的適応
生物が地球上の多様な環境に生息するための能力は、生態学と進化生物学の両分野の密接な関係を表している 進化の証としてダーウィンによって提供されたのは、生物の地理的分布や、特異な環境に対する生物の絶妙な適応 生物と環境の相互作用に起因し、自然選択を通した進化的な適応は、我々を生態学の定義へ呼び戻した 個体の一生の間、短期的に生じる出来事は、長期的な進化的時間にわたる効果に変わる
たとえば、水の利用可能性は、植物の成長や最終的にはその繁殖成功にも影響するため、降水量は植物個体群の遺伝子プールにも影響する
平均以下の降雨の後、感想耐性のある個体は植物個体群の中で、より優勢になるだろう
環境変動への順応
生育地における非生物的な要因は、年によって、季節によって、あるいは1日の間に変動する
個体の生涯の間に起こる環境変化に順応する個体の能力は、自然選択によって洗練される適応
たとえば、寒い日に鳥を見たら、その鳥は、とてもふわふわして見えた
皮膚の中の小さな筋肉が、鳥の羽を立てており、これは断熱するために、まとまった空気を捕捉するための生理的反応
ある鳥種は、大きな羽を生やして季節的な寒さに順応する
ある鳥種は、気候的に寒くなる時期に、暖かい地域に渡ることで対応する
ここで、注意してもらいたいのは、これらの反応が個体の生涯の間に生じること
これらは時間をかけて個体群に変化をもたらす進化とはみなせない
生理学的反応
鳥と同様に、哺乳類は寒い日に毛が生えている皮膚の筋肉を収縮させて、一時的な断熱層を形成する
我々の筋肉もこれを行うが、我々の場合、毛皮による断熱の代わりに鳥肌を立てるだけ
皮膚の血管も収縮され、体温の喪失を遅らせる
これらの順応は、両方とも一瞬の間に起こる
環境の変化に反応した可逆的であるが、緩やかな生理的順応
たとえば、低地から高地に移動すると、より低い酸素濃度に対する生理的反応の1つとして、徐々に赤血球の数が増加するだろう 順化には数日から数週間かかる
順化する能力は、一般的に、種が自然に経験する環境条件の範囲に関係している
とても暖かい気候で生活している種は、通常、極端な寒さには順化できない
恒温動物である彼らは、体温を調節する代謝機能を持っているため 対照的に、変温動物の爬虫類は、より限定的な温度にしか耐性がない 解剖学的な反応
多くの生物は、環境の変化に対して、体の形態や構造のいくつかのタイプの変化によって反応する
変化が可逆的な場合は順化の一種
たとえば、多くの哺乳類の冬毛と夏毛
その他の解剖学的変化は、個体の生涯にわたって不可逆なもの
環境の変異は、成長や発達に影響を与え、ある個体群における個体の形に変異をもたらす
たとえば、風の影響で樹形が「旗のように」なっている樹木
一般的に、植物は動物よりも解剖学的に変化しやすい
根を張って、よりよい場所に移動できない植物は環境変化を生き抜くために、解剖学的な反応や生理的な反応に頼っている
行動的な反応
植物とは対照的に、殆どの動物は環境の不適な変化に対して、新たな場所に移動することで反応する
そのような移動は、ほとんど局所的なのかもしれない
トカゲのような多くの砂漠の変温生物は、日向と日陰の間を移動するすることによって合理的に体温を一定に保っている ある動物は、季節変化のような環境の合図に反応して長距離を移動することができる
中央・南アメリカで越冬する多くの渡り鳥は、夏の間、繁殖するために北半球地域に戻る